育児に専念する主婦はさまざまなストレスにさらされており、そのために抱えこむ心のトラブルは、本人はもちろん子どもにも影響を与えることがあるため、注意が必要です。
■主婦のうつ病の原因とよく見られる症状
主婦のうつ病は、夫婦間のコミュニケーションの不和、親戚とのトラブル、家事・育児の負担など、さまざまなストレス要因が絡み合って起こります。また他人と接触する機会が少ない人は、孤独感に陥りやすく、それもひとつの要因となります。こうした主婦特有の心の状態は「主婦症候群」などと呼ばれます。主婦症候群になると、キッチンに立つことをプレッシャーに感じる、家族の不在中に飲酒で気分をまぎらわす「キッチンドリンカー」になってしまうなど、うつ病を悪化させる要因を発生させていきます。
また、ホルモンのバランスが乱れると、うつ病になりやすいといわれています。女性のうつ病は、女性ホルモンであるエストロゲンの変動が激しいときに発症しやすいとされています。そしてその変動が激しくなるのが、月経、妊娠、出産、閉経時。エストロゲンの分泌量が減ると、精神を安定させる働きを持つ脳内物質のセロトニンが低下し、うつ病を引き起こしやすくなるのです。
■育児中のうつ病と子どもへの影響
出産後まもなく、情緒不安定などの精神症状が起こることが多くあります。産後2〜3日以内に現れ、10日目くらいで軽快します。これが「マタニティブルー」と呼ばれる症状です。マタニティブルーは不眠、抑うつ、不安感、注意散漫などの精神症状が起こりますが、短期間で症状がなくなる一過性のものです。しかし、この症状が1か月、2か月と続くようなら「産後うつ」を疑ったほうがいいかもしれません。気分が沈み、周囲に対する興味や喜びが感じられなくなる、不眠症状が出始める、など身体的・精神的な症状が現れます。マタニティブルーと異なり、産後うつは「病気」です。我慢せず、医師の診察を受けるようにしてください。産後うつは、育てられる子どもの精神的発達にも少なからずネガティブな影響を与えることがわかっています。本人のケアと同時に子どもへの配慮も必要となります。
2015.10.31 ヘルスケア大学 から引用