うつ病は、きちんと治療を受ければ必ず治る病気です。しかし、風邪のように「薬を飲んで熱が下がったから治った」と簡単にはいきません。個人差はありますが、半年〜1年程度は治療を行うケースが多くあります。なぜうつ病は長引くのか、また、どのような対処をすればよいのか、詳しく解説します。
■うつ病が長引く・再発する原因
うつ病の治療には、薬を飲みながら病状を取り除いていく「急性期」と、社会復帰に向けて以前までのペースを取り戻していく「回復期」があります。薬物治療を行う「急性期」の間、患者は薬を飲み、様子をみながら治療に励みます。この時期を過ぎると、回復期に入るのですが、この時期、病状は大きな波を描くように、よくなったり悪くなったりをくりかえします。このよくなった時期に「もう大丈夫だ!」と自分の判断で薬を飲むのをやめて、社会復帰しようと考える人が少なくありません。しかし、完全に回復したわけではありませんから、再び抑うつ状態に入り、結果、うつ病が長引いたり、再発させたりしてしまうのです。
■長引かせない対処法・予防策
うつ病の治療中は、症状が改善されてもすぐに服薬を止めず、しばらくは抗うつ薬を飲み続けることが大切です。これを「維持療法」と言います。
うつ病の患者は、早く社会復帰したい、早く治したい、と強く思うものですが、うつ病から回復するには時間がかかるのが一般的です。それを念頭に置き、焦らずじっくりと治療に向き合うことがなによりも大切です。焦って無理をしたり、服用を止めたりすると、症状がかえって悪化してしまったというケースが少なくありません。
再発を防止するにも、抗うつ薬を服用し続けることが重要です。うつ病は2〜3年以内に50〜80%が再発するといわれているほど再発率の高い病気です。いったん症状が落ち着いたと感じても、自己判断で服用や治療を中止しないようにしましょう。もし再発のサインを感じたら、すぐに担当医師に相談しましょう。
うつ病治療では、周囲のサポートも欠かせません。家族なら「本人がいちばんつらい」ということを理解して本人がじっくり休養できる環境を整えてあげましょう。職場の方なら、ゆっくり復帰していけるよう、仕事内容に配慮してあげてください。
うつ病の回復は一進一退です。たとえ病状が再発しても治ることを信じて、「あせらず」「あせらせず」の気持ちでいることが大切です。
2015.11.25 ヘルスケア大学から引用