躁うつ病という病気をきいたことがある方もいらっしゃるでしょう。
あるいは気分の沈みが激しい人を見て、躁うつの気がある、などと話したりする場面も経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は躁うつ病の原因やメカニズムについて、医師に聞きました。
「躁うつ病」は現在では「双極性障害」と呼ばれることが多くなっている、気分障害の一種です。
気分の落ち込みや意欲の低下など、うつ症状のみを経験するいわゆる「うつ病」、単極性のうつ病とは異なって、うつの症状に加えて、普段のご本人以上の気分の高揚や、爽快感など、いつもよりハイになる症状が出ることがいわゆる「躁うつ病」、「双極性障害」です。
うつ病の症状では以下のようなイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
・気分がどうにも落ち込む
・涙もろくなる
・食欲がなくなったり
・物事を良いほうに考えられなくな
・ひどくなると死にたくなってしまう、
このような「うつ状態」のイメージが湧きやすくても、「躁状態」とはどのようなものか、定義が難しく感じる方も多いのではないでしょうか。
「躁状態」は本来の自分自身に比べて、端的に言うと「エネルギーが満ち溢れている状態」ということができると思います。
・特に理由なく非常に気分が良く、幸せだと感じる
・その方らしくないくらい興奮しているように見える
・非常におしゃべりになる
・自信に満ち溢れ、周囲の人に威圧的になる
ときに必要以上にずけずけと意見を言ってトラブルになることもあります。ほかにも、次から次へと考えが湧いてきて、まとまらなくなったりすることもあります。人によってはとても払いきれないような高額な買い物をしたり、異性関係が急に派手になったりする場合もあります。
こういった、周囲から見て明らかに「その人にとっての普通ではない」と思われる、一種の興奮状態が一週間以上続き、社会的なもの、例えば人間関係や職場で影響が出るレベルのものを躁状態と呼びます。
さらに、私たち医師は興奮はあるものの、社会的な立場などに影響が出るほどではない状態が、4日以上続くものを軽躁状態と呼んで区別しています。
この重篤な躁状態とうつ状態を周囲的に繰り返すものを双極性障害Ⅰ型、軽躁状態とうつ状態を交互に繰り返すものを双極性障害Ⅱ型と呼んで区別しています。
双極性障害の躁状態は、その方の社会的な立場や周囲との人間関係に大きな影響を及ぼす可能性が高いものです。
特に、好戦的になったり、尊大な態度、極端な浪費や性的な問題行動などは、病気の症状とは理解されず、後々まで関係性に影響を及ぼすことがあります。
また、双極性障害のうつ状態は、一般に単極性うつ病のうつ状態より重くなることが多いともいわれ、こちらも本人にとって非常につらい症状です。
まず、念頭に置いていただきたいことがございます。
双極性障害の悪化時の症状は、あくまで病気によって起こっているもの、ということです。
その方が意図して行っているものではありません。ご家族など身近な方は、その部分をしっかり理解することが非常に大切です。
躁うつ病は症状が落ち着いているときでも通院服薬が非常に大切な病気です。服薬や日常のストレスケアなどできるだけ再発を防ぐように万全の注意を払っていきたいですね。
自分が躁うつ病なのか、と悩んでいる場合は医師に相談することもおすすめします。「躁うつ病」というイメージだけにとらわれないように心がけるといいですね。
2016.2.8
(監修:Doctors Me 医師)